「昔の出来事が未だにフラッシュバックする」
「恐怖や不安といった感情のコントロールができない」
その他、震災の体験、犯罪被害、虐待、事故、いじめなど。
そんなトラウマ体験に苦しんでいる方もいらっしゃると思います。
「EMDR」には、そんなトラウマ体験や不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を解消する効果が期待できます。
実際に、戦闘関連性PTSDと診断された35名の帰還兵 にEMDR治療を行ったところ、有意な治療効果がみられたことも分かっています。(参考:戦闘活動による心的外傷後ストレス障害に対する眼球運動性脱感作と再構成法(EMDR ))
本記事では、そんなEMDRの基本情報、治療効果などを解説していきます。
今、感じている心理的負担が少しでも軽くなれば幸いです。
1.EDMRとは?
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、トラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、エビデンスのある心理療法と言われています。
治療方法は、心理テストでトラウマや不安の原因を特定し、次に光の動きを手段として、ヘッドフォンの音声や手の動きを使います。
1989年にアメリカでFrancine Shapiroという臨床心理学者が発表してから、今日までに全世界で40,000人以上の精神科医、臨床心理士などがこの方法のトレーニングを受け、現在では2,000,000人以上の人が治療を受けています。
ちなみに、治療に用いられる「眼球運動」とは、精神科医やセラピスト(心理療法士)の素早くリズミカルな指先の動きを目で追い、左右に眼球を動かすといった運動のことを指します。
2.トラウマに解消に繋がる「EMDR」の3つの効果
EDMR治療をうけることで、次の3つの効果が期待できます。
- トラウマによる強い不安感が軽減される
- 今までのネガティブな記憶になれる
- 過去の記憶として適切に対処できる
そのなかでも、EMDRは原因不明の症状や過去のトラウマの治療に向いていると言われています。
ただし、治療効果には個人差があることを念頭に置いておきましょう。
3.EDMRで用いられる眼球運動の3つの効果
EMDR治療に用いる「眼球運動」には、次の3つの効果が期待できます。
- 外傷(トラウマ)記憶に慣れる
- トラウマ以外の記憶も連想される
- 今までと違った解釈ができる
以下でそれぞれ解説いたします。
3-1.外傷(トラウマ)記憶に慣れる
EMDRでは眼球運動というリズミカルな動きを通して、ネガティブなイメージしかなかったトラウマに慣れることを行います。
精神科医やセラピストからの質問とあわせて、
- 指を追いかけるといった眼球運動に注意を向ける
- トラウマとなっている記憶を再処理
それらの結果として、不安や恐怖が軽減するといった効果があると考えられています。
3-2.トラウマ以外の記憶も連想される
眼球運動が、脳を直接刺激することにより、見えなくなっていた様々な記憶を呼び起こすと考えられています。
その際、トラウマだった記憶の中から「嫌なことだけじゃなかった」「これは嫌だった辛かったけど、あれは楽しかった、嬉しかった」といったポジティブな記憶の断片に出会う。
そんな視野が広がるような効果が期待できます。
3-3.今までと違った解釈ができる
EMDR治療では、過去のトラウマと向き合いながら、指を眼で追う動作を行います。
その際、つらい記憶に対して考え方や解釈を変えることで、今までと違った記憶が定着する効果が期待できます。
眼に入った情報は、脳内で記憶として整理整頓したり、反応したりするといった働きがあります。
またその他に、他の感覚(聴覚・嗅覚・触覚・味覚・体性感覚など)や機能との相互作用も!
その結果、つらかった記憶に対して、今までと違った解釈が可能に!
4.最後に
EMDRはまだまだ馴染みのない心理療法です。日本EMDR学会による研修や民間資格などがありますが、専門家も多いわけではありません。
そのため、はじめてEDMR療法を受ける方は、
- 学会認定資格をもった治療者
- 信頼できる臨床心理士、セラピスト
- EDMR療法に詳しい先生
を頼ってみましょう。
以上となります。
今回の記事が、皆さまのトラウマを解消する。
そんな心の健康に繋がりますと幸いです。